【3月16日 AFP】3月18日にオーストラリア・メルボルン(Melbourne)で行われる2012年シーズンのF1開幕戦、オーストラリアGP(Australian Grand Prix 2012)を控え、世界王者セバスチャン・ベッテル(Sebastian Vettel)に挑む5人の主要ライバルに注目した。

■マーク・ウェーバー(Mark Webber)/レッドブル(Red Bull

 レッドブルがコンストラクターズ選手権を制した2011年シーズンに、同僚のベッテルに追いつくためもがき苦しんだウェーバーは、在籍6年目を迎えた今シーズンを忘れられないものにするため、タイトル獲得に挑戦する。だからこそ、母国で開催されるオーストラリアGPを含めたシーズン序盤での勝利が意味を持つことになる。

 2002年にミナルディ・レーシングチーム(Minardi Racing team)でF1デビューを飾ったオーストラリアGPで5位入賞を果たして以降、ウェーバーは母国GPで好成績を収められず苦しんでいた。

 11年シーズン前半は、伊タイヤメーカー「ピレリ(Pirelli)」製のタイヤに走りを合わせたことで、タイヤ管理がウェーバーの弱点になった。しかしながら、第19戦ブラジルGP(Brazil Grand Prix 2011)で勝利への気迫を見せたウェーバーは、今シーズンのさらなる躍進を確信している。

 ウェーバーは、「6人の世界王者や、冬の合同テストで良いタイムを残したチームなど、勝たなければならないライバルがたくさんいる。タフな戦いになるだろう。ベストを尽くしてその結果を待たなければならない。自分が好調なのは分かっている。自分とチームに自信がある」と語っている。

■ジェンソン・バトン(Jenson Button)/マクラーレン・ メルセデス(McLaren-Mercedes

 2011年のカナダGP(Canadian Grand Prix 2011)で類まれな勝利を収め、ベッテルの真のライバルとしての地位を確立したバトンは、自身の能力に懐疑的だった関係者に対し、タイトル獲得の可能性を持ったドライバーであることを確信させた。

 同僚のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)が不安定なシーズンを送った中、2009年王者のバトンは、シーズンを通して勝ち続けることはできなかったものの優れたパフォーマンスを披露し、チームで素晴らしいリーダーシップを発揮した。

 グランプリ出走回数210回を誇るバトンは、天候などの条件に左右されない優れた技術を持つドライバーであることを証明している。チーム在籍期間はハミルトンの方が長いものの、バトンはマクラーレンのリーダーとしての頭角を現しており、今シーズンもベッテルの手強いライバルになると見られている。

■ルイス・ハミルトン/マクラーレン・メルセデス

 不安定な2011年シーズンを過ごしたハミルトンだったが、シーズンオフに厳しいトレーニングを行い、一度は婚約を破棄した米ポップグループ「プッシーキャット・ドールズ」(Pussycat Dolls)の元リードシンガー、ニコール・シャージンガー(Nicole Scherzinger)と復縁したことで、精神的にも肉体的にもベストな状態にある。

 レース・マネジメントの専門家抜きで1年を過ごしたハミルトンは、マクラーレン・メルセデス在籍当時のミカ・ハッキネン(Mika Hakkinen)氏に大きな成功をもたらしたディディエ・コトン(Didier Coton)氏を新マネージャーに迎え、安定したレース運びが期待できるようになった。

 昨シーズンは物議をかもすクラッシュやペナルティを科される場面も多かったハミルトンだが、今シーズンは冷静を保ち、精神的に安定し続ければ、タイトル争いに加わる可能性は十分にある。

■フェルナンド・アロンソ(Fernando Alonso)/フェラーリ(Ferrari

 冬の合同テストで期待外れの結果に終わり、手応えを得ることができなかったフェラーリだが、その結果だけで2度の世界王者に輝いたアロンソとマシンの評価を下すのは時期尚早といえるかもしれない。

 05年と06年の総合王者アロンソは、依然として素晴らしいスピードと集中力を持っており、合同テストにおけるパフォーマンスは悪くなく、着実にタイムを伸ばしていた。しかし、所属するフェラーリのマシンはタイトルを獲得するような勢いが欠けており、レッドブル、マクラーレン・メルセデスと互角に戦える強さを持っていないかもしれない。

 2011年にフェラーリとアロンソは1勝を挙げているものの、ルカ・ディ・モンテゼーモロ(Luca di Montezemolo)会長にとって満足のいく結果ではなかった。モンテゼーモロ会長は吉報を信じ、アロンソはそれを届けることができるかもしれないが、そのためには勝利が必要不可欠となる。

■ニコ・ロズベルグ(Nico Rosberg)/メルセデスGP(Mercedes GP

 チームメイトのミハエル・シューマッハ(Michael Schumacher)が43歳で、ロズベルグがまだ26歳であることを考慮すると、2012年に大幅な改良を施したメルセデスGPのマシンで勝利する可能性が高いのは、「空飛ぶフィンランド人」のケケ・ロズベルグ(Keke Rosberg)氏を父に持つドイツ生まれのロズベルグになると見られる。

 ロス・ブラウン(Ross Brawn)代表は、ロズベルグが優勝争いのできる準備が整った完璧なドライバーに成長したと感じていると明かしており、絶大な信頼を寄せている。

 速さと賢さ、才能に恵まれ、すべての分野において強さを身につけたロズベルグが成功を収めるためには、まずシューマッハとの戦いを制してチーム内の地位を確立し、タイトルへの挑戦権を獲得しなければならない。2011年シーズンはこれまでの実績に見合わない結果に終わったシューマッハだが、情熱とコンディションは高いレベルで保ち続けている。

 もしそれができなければ、ロズベルグは将来を嘱望されながらも無駄に時間を過ごしていく可能性があるため、今後のキャリアのためにも初勝利を挙げる必要がある。(c)AFP