【8月13日 AFP】英政府は12日、イベリア半島南端の英領ジブラルタル(Gibraltar)でのスペインによる国境検問の強化に対し、法的措置を検討していることを明らかにした。一方のスペイン側は国連(UN)などへの訴えも辞さない構えで、両国の対立が激化している。

 デービッド・キャメロン(David Cameron)英首相の報道官は、スペインの検問強化によって国境を越えようとする人々が数時間にわたって足止めされていると指摘。「政治的な動機に基づいたもので、完全に度を越している」と非難した上で、「どのような法的措置が可能か検討中だ」と述べ、スペインに対し前例のない措置に踏み切るべきかどうか吟味していることを明らかにした。

 これに対しスペインは、検問は「合法かつ適切」として中止するつもりはないと反発。同国外務省の報道官は、スペインが国連安全保障理事会(United Nations Security Council)や、オランダ・ハーグ(Hague)の国際司法裁判所(International Court of Justice)といった国際機関へ訴える可能性も視野に入れていると話した。

 ジブラルタルの自治政府は、スペインの検問強化は同自治政府の人工岩礁の建設に対する報復だと主張している。ジブラルタル側は人工岩礁建設の目的は漁獲量の増加にあるとしているが、スペイン側は自国籍の漁船を締め出す狙いがあると主張している。

 ジブラルタルは、面積わずか6.8平方キロメートル、人口約3万人の英自治領。大西洋と地中海を結ぶ唯一の出入り口を見下ろす場所にあるため、戦略的要衝となっている。スペインは1713年、ジブラルタルを英国に永久割譲したものの、やはりスペインの統治下に戻すべきだと長く主張してきた。しかし地元住民は一貫して英領にとどまることを希望、英国も地元の意思に反して主権をスペインに再移譲するつもりはないとしている。(c)AFP/Guy JACKSON