【7月31日 AFP】アイルランドで30日、母体の命が危険な状態にある場合に限り人工妊娠中絶を認める法案にマイケル・ヒギンズ(Michael D. Higgins)大統領が署名した。新法の成立により、同国で初めて人工妊娠中絶の一部が合法化された形だ。議会では7月初めにこの法案を大差で可決していた。

 ローマカトリック教徒が国民の大多数を占める同国では昨年10月、医師に中絶を拒否されたインド出身のサビータ・ハラパナバル(Savita Halappanavar)さん(31)が死亡しており、この件をきっかけに国内では中絶の全面禁止をめぐって議論が高まっていた。

 ハラパナバルさんは、流産しかかっているとしてゴールウェー(Galway)の病院に中絶を求めたが医師らに拒否され、その後に敗血症で死亡した。この一件により同国の中絶を禁じた法律は各国から注目を集め、政府は法律の見直しを与儀なくされていた。

 中絶を禁じた同国の法律については、欧州人権裁判所(European Court of Human Rights)も2010年、憲法上の権利を認めていないとの判断を示していた。(c)AFP/Conor Barrins