【4月30日 AFP】アフガニスタンのハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領は29日、大統領府が過去10年間にわたって米中央情報局(Central Intelligence AgencyCIA)から現金供与を受けていたことを認めた。スーツケースやバックパックに入れられた札束を受け取っていたとの報道もある。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は、CIAが影響力強化のため大統領府に数千万ドルの現金を渡していたと報道。その数時間後、カルザイ大統領は会見で現金の供与について事実であることを認めた。

「その通りだ、過去10年間にわたってアフガニスタンの国家安全保障会議(NSC)はCIAから資金を受け取っていた。その額は大きくなく、むしろ少額だった」とカルザイ大統領は声明で述べ、この資金がアフガニスタン国内で大義のために使用されたと説明した。NCSは大統領府内の組織。

 タリバン(Taliban)政権を打倒した米国主導のアフガニスタン進攻から11年以上が経過した今もなお、アフガニスタンはまん延する政治腐敗により、安定した国家の建設が損なわれている。

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、CIAの秘密資金は、影響力確保のために軍閥の指導者や政治家に渡されたとされ、資金の流れに対する監視は一切行われていなかったとみられている。ただ資金を渡した人物の中には、麻薬取引やタリバンと関係のある人物もいたという。

 匿名の高官はタイムズ紙の取材に、CIAの資金が政治腐敗に油を注ぎ、軍閥指導者らに資金を供給してきたと語った。また米政府高官も「アフガニスタンにおける腐敗の最大の原因は米国だった」と述べている。

 2000~05年にカルザイ大統領の首席補佐官代理を務めたカリル・ロマン(Khalil Roman)氏は、タイムズ紙に対し、ときにビニールの買い物袋に入って大統領府に届けられたこの現金が「ゴーストマネー」と呼ばれていたことを明らかにした。(c)AFP/Ben Sheppard