【3月5日 AFP】中国の温家宝(Wen Jiabao)首相は、5日開幕した第11期全国人民代表大会(全人代=国会、NPC)第5回会議で施政方針演説に当たる政府活動報告を行い、「地域の戦争」に勝利するため軍事力を強化すべきだと述べた。中国政府は近年、アジア地域の領有権問題で強硬姿勢を強めている。

 経済の急成長に伴い、供給路の確保と合わせ新たな資源獲得先を必要とする中国は近年、南シナ海(South China Sea)で領有権を主張して日本や韓国、フィリピン、ベトナムなどとの衝突が激化している。周辺国は中国の強引な行動を非難している。

 こうしたなか、温首相は「われわれは幅広い軍事課題を達成するため、軍隊の能力を増強する。最も重要な軍事課題は情報化時代の状況下で地域の戦争に勝利することだ」と演説した。
 
 前日には中国政府が、2012年の国防費が前年と比べて11.2%増え、1000億ドル(約8兆1600億円)を超えると発表している。

 アジア地域における軍事力拡大を目指す中国の国防費は過去10年間、ほぼ毎年2ケタの伸びを続け、既に同国は世界最大規模の軍隊を有している。また、軍の近代化は国防予算として計上されていないことから、実際の軍事費は公式発表の2倍はあると専門家らは推計している。(c)AFP

【図解】アジア諸国の2015年の国防費予測