【7月18日 AFP】オーストラリアのジュリア・ギラード(Julia Gillard)首相と内閣の支持率が、「炭素価格制度」導入の発表後さらに悪化したことが、18日に発表された世論調査結果で明らかになった。

 ギラード首相は前週、二酸化炭素(CO2)削減に向けた取り組みとして、2012年7月からCO2排出量の多い企業、上位500社に税金を課す構想を発表した。

 だが、18日の豪紙シドニー・モーニング・ヘラルド(Sydney Morning Herald)に掲載された調査会社ニールセン(Nielsen)の世論調査結果は、「炭素価格制度」の発表がギラード内閣の不人気に拍車をかけただけだったことを示している。

 有権者1400人を対象に行った同調査では、野党・保守連合(自由党と国民党)支持が61%で、39%の与党・労働党を上回った。総選挙が行なわれた昨年8月時点と比較して、野党支持が11ポイント増えた形だ。

 全政党を対象に最も支持する政党を聞いたところ、労働党の支持率は1か月前の前回調査より1ポイント少ない26%で、この世論調査の主要政党支持率としては過去最低を記録した。ギラード首相個人の支持率は前回調査より3ポイント少ない34%だった。

 ギラード首相は「炭素価格制度」の利点を訴えようと全国をまわり、テレビやラジオも使って選挙運動のようなキャンペーンを始めたが、炭素価格制度では状況が悪くなると思うと回答した人は53%に上った。

 石炭輸出や火力発電所に依存するオーストラリアは、世界でも1人あたりのCO2排出量が最も多い国の1つだ。だが、経済界からは、炭素価格制度は多額の税金投入を強いるうえ、主要産業で生産性の低下や雇用削減を招く一方、世界のCO2排出量を減らすことはできないとして、制度導入に反対する声が上がっている。(c)AFP