【10月26日 AFP】イラン政府は26日、アフガニスタンの再建支援として同国に現金を渡していたことを認めた。23日の米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)の報道を受け、25日にはアフガニスタンのアフガニスタンのハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領も側近がイラン側から多額の現金を受け取っていたことを認めていた。

 イラン外務省のRamin Mehmanparast報道官は「イランは隣国としてアフガニスタンの安定を深く憂慮しており、アフガニスタンの再建のために多くの支援を行った」と発表。「イランはアフガンスタンの再建と経済開発のために自らの役割を果たしてきたのであり、今後もそうするつもりだ」と語ったが、イランがアフガニスタンに行ってきた「支援」の具体的な内容は明らかにしなかった。

■ニューヨーク・タイムズ紙報道が発端

 23日にニューヨーク・タイムズ紙が、カルザイ大統領の首席補佐官、Umar Daudzai氏が、イランから現金を受け取っていると報道。アフガニスタン政府内での影響力拡大がイランの狙いだと伝えた。

 これに対し、アフガニスタンのカルザイ大統領は25日、カブール(Kabul)で記者会見し、「多くの友好国が大統領府に行っていることだ」と語り、秘密の資金援助だとしたニューヨーク・タイムズ紙の報道を強く否定した。

 カルザイ氏は、イランから年に1~2回、最高で1回あたり現金70万ユーロ(約8000万円)を大統領府への正式な支援として受け取っていたと説明。透明性も確保されていると述べた。

 現金を首席補佐官が受け取っていたことについては「わたしが指示したものだ」と述べ、「秘密は何も無い。イランの支援に感謝している。米国も同じことをしている。米国もアフガニスタン政府の高官に現金を渡している」と述べた。

 カルザイ氏の会見の直前には、在カブール・イラン大使館がニューヨーク・タイムズ紙の記事について「デタラメでばかげた、侮辱的な」報道だと批判し、「そのような根拠の無い憶測は、一部の西側メディアが、世論を混乱させ、アフガニスタンとイランの強い関係を損なうためにしていることだ」と非難していた。

 しかし、ビル・バートン(Bill Burton)米大統領副報道官は25日、「米国国民と国際社会は、イランがアフガニスタンに悪い影響を及ぼそうとしていることに懸念するに足る理由を十分持っている」と懸念を表明した。

 バートン副報道官は、イランには「アフガニスタンの政府を作っていく上で良い影響を及ぼす」責任があると述べ、アフガニスタンを「テロリストが安全な隠れ家を得られたり、攻撃の計画を練ったりできるような国ではないように」しなければならない責任があると語った。(c)AFP