【3月15日 AFP】スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(Stockholm International Peace Research InstituteSIPRI)が15日に発表した報告書によると、2005年~09年における世界の通常兵器取引は、2000年からの5年間と比較して22%増となった。特に政情不安定な地域にある途上国が過去5年間で軍拡路線を拡大させ、そうした地域で軍拡競争が懸念される実態が明らかになった。

 輸入では、戦闘機が27%を占めた。報告執筆者によると、資源国が資源輸出で得た利益を戦闘機購入に充てる傾向が高まっている。途上国による軍拡競争が生じつつある地域としては中東、北アフリカ、南米、南アジア、東南アジアが挙げられた。

■東南アジアで兵器輸入が急増

 地域別では東南アジアで兵器輸入の急増が目立つ。2000~04年に比べ、2005~09年の兵器輸入はマレーシアが722%増、シンガポールが146%増、インドネシアが84%増だった。

 特にシンガポールは世界全体でも兵器輸入国の第7位となり、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国では、ベトナム戦争以来初めて上位10か国入りした。ベトナムも潜水艦や長距離戦闘機を発注するなど、軍備増強を積極的に進めている。

 中東のアルジェリアも兵器輸入国の第9位となり、シンガポール同様に初めて上位10か国に入った。

 一方、世界最大の兵器輸出国は依然として米国で、世界の兵器輸出の30%を占めている。輸出兵器の内訳では、戦闘機が占める割合が39%。輸出先はアジア太平洋地域が39%で第1位、次いで中東が36%で続いた。

 またロシアが輸出する通常兵器でも、40%が戦闘機だった。(c)AFP