【9月7日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が8日に全米の児童・生徒向けに行う演説をめぐり、保守的な保護者を中心に反発が起きている。

 ホワイトハウスは前月、多くの学校で新学期が始まる9月8日にオバマ大統領がバージニア(Virginia)州の学校で学校に行くことの大切さを訴える演説を行い、その模様をテレビで放送すると発表した。しかし、保守的な親たちは、演説には米国の子どもたちにリベラルな思想を吹き込み、社会主義に洗脳する意図があるとして反発している。各州の教育委員会にも同様の批判をする抗議の電話が殺到しているという。

 騒ぎが大きくなった原因は演説の発表と同時に教育省が各学校に送った「学級活動のメニュー」にもある。この中に「どうすれば大統領を助けることができるかという題で作文を書く」という課題が含まれていたからだ。
 
 全米の保守派市民による反オバマ運動団体「全米茶会同盟(Nationwide Tea Party Coalition)」広報のマイケル・リーヒー(Michael Leahy)氏は、「作文の主眼は教育ではなくオバマ氏崇拝にある」と憤る。

 こうした批判に対し、アーン・ダンカン(Arne Duncan)教育長官は「大統領のメッセージは、全体として生徒らに個人の責任への自覚やチャレンジの重要性、学校の勉強に真剣に向き合うことを促すものだ」と、米CBSテレビの番組で説明。「オバマ大統領は、米国の若い世代にベストを尽くすよう励ましたいだけだ」と釈明した。

 しかし、オバマ大統領演説の視聴を取りやめたり、視聴の判断を各校の校長・教師や、生徒らの親に委ねたりした学区が現れつつある。

 こうした混乱への対応として、ホワイトハウスは、大統領が演説を行う前日の7日に演説原稿を公開すると発表した。親たちの不安を取り除き、全米の生徒が学校で演説を聴ける態勢を整えたい考えだ。教育省も、反感を買った作文の課題を「短期・長期的な教育の目標をどうしたら達成できるか、自分に手紙を書く」に変更した。(c)AFP/Karin Zeitvogel