【8月10日 AFP】米国のジェームズ・ジョーンズ(James Jones)大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は9日、米NBCテレビのインタビューで、金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記(67)は北朝鮮の実権を「完全に掌握している」とみられると述べた。また、北朝鮮は対米関係の改善を望んでいるようだとし、次の動きは北朝鮮からなされるべきだとの見解を示した。

 ジョーンズ補佐官はFoxテレビに対しても、ビル・クリントン(Bill Clinton)元米大統領の訪朝について、まだ報告を受けている途中だとしつつ、「仮報告によれば金総書記が北朝鮮の全権を掌握していると考えられる」と述べ、「北朝鮮は、米国と新しい、より良い関係を築きたい意向を示唆した」と話している。

 前年に脳梗塞で倒れたとされる金総書記は、三男の金正雲(Kim Jong-Un)氏(26)に権限を移行する準備を進めているとみられている。

 一方、韓国・聯合(Yonhap)ニュースは9日、匿名筋の情報として、北朝鮮の治安機関にあたる国家安全保衛部が今回のクリントン氏の訪朝について、正雲氏の功績だと称賛していると報じた。

 聯合によると、国家安全保衛部は最近行った内部向けの講演会で、「正雲大将の知略によって、クリントン元米大統領がはるばる太平洋を越えて大将軍様(金正日総書記)に謝罪に訪れた」「すべては正雲大将の類いまれな予知力と優れた戦略のおかげだ」などと述べたという。

 こうした正雲氏礼賛について、聯合は、北朝鮮の次期指導者としてのイメージアップ作戦だと分析している。

 一方、米政府はクリントン元大統領が謝罪したとの北朝鮮側の主張を否定した。(c)AFP/Jim Mannion