【5月3日 AFP】パキスタンのナワズ・シャリフ(Nawaz Sharif)元首相は2日、パキスタン東部のラホール(Lahore)で記者会見し、ペルベズ・ムシャラフ(Pervez Musharraf)大統領が解任した前最高裁長官ら約60人を国民議会(下院)決議で今月12日に復職させる方針を明らかにした。ムシャラフ大統領にとっては新たな脅威となるとみられる。

 ムシャラフ大統領は前年11月、非常事態を宣言し、10月の大統領選での自身の再選を覆す恐れのあるイフティカル・ムハンマド・チョードリー(Iftikhar Muhammad Chaudhry)前最高裁長官らを解任した。

 最高裁長官らが復職すれば、大統領の再選について改めて審議が行われる可能性もあり、大統領と司法の対立が一層深まる恐れがある。

 暗殺されたベナジル・ブット(Benazir Bhutto)元首相が率いていたパキスタン人民党(Pakistan People's PartyPPP%)議会派とパキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派(PML-N)は、2月の総選挙で大統領派を破り、3月に連立内閣を発足させた。

 シャリフ氏とPPPのアシフ・アリ・ザルダリ(Asif Ali Zardari)共同総裁は前日、アラブ首長国連邦の首都ドバイ(Dubai)で会談していた。 

 判事らの復職をめぐりシャリフ氏とザルダリ氏は3月にもマリー(Murree)で協議を行ったが、その際設定した30日の期限延長も4月30日に期限切れを迎えていた。

 PPP側は司法改革を含めた案を主張したが、シャリフ氏は無条件の復職案を要求した。

 PPP側の案の全容は明らかにされていないが、最高裁長官の任期を設定することや議会に対する説明義務を課すことなどが盛り込まれていたとされる。

 ザルダリ氏は協議の内容を明らかにしていないが、シャリフ氏によるとザルダリ氏はムシャラフ大統領が非常事態下で任命し、大統領の再選を合憲と判断した判事の留任を望んでいるという。

 政治関係者によるとザルダリ氏は、ムシャラフ大統領を「テロとの戦い」の重要な協力者とみなす米国と英国から大統領の地位を脅かさないよう圧力を受けているという。(c)AFP/Jalilur Rehman