【7月30日 AFP】29日に投開票された参議院選挙で民主党が躍進したことを受け、専門家らは30日、日本政治に新時代の幕開けの機会が高まったとの見方を示した。

 最大野党の民主党は結党以来初めて、参議院で第1党の座を獲得した。ただ、今回の選挙は民主党の勝利というより、むしろ自民党の敗北だとする声もある。

 学習院大学の河合秀和(Hidekazu Kawai)名誉教授(政治学)は「日本の政治はいま、重大な岐路にある。日本の政治が変化の兆しを見せたのは今回が初めてではないが、55年体制の終わりが始まろうとしているようだ」と指摘。さらに、「もし民主党が政権担当能力を示すことができれば、ほかの先進国のような健全な政治体制に一歩近づくだろう」と述べた。

 一方で、自民党の分裂や旧社会党議員らにより1998年に結成された民主党は、結党時の経緯から、矛盾が露呈する危険性を抱えている。

 東洋大学の加藤秀治郎(Shujiro Kato)教授(政治学)は「政権獲得のためには、民主党は党内の基本原則を調整する必要がある」と指摘する。「民主党はさまざまな党の寄せ集めという印象がある。民主党が政権に近づくほど、こうした印象が有権者をいら立たせることになる」

 一橋大学の加藤哲郎(Tetsuro Kato)教授(政治学)は「日本に2大政党制が根付くかどうかを論じるのは時期尚早。次の段階は衆院選だが、問題はそれまで民主党が勢いを保てるかどうかだ」と語った。(c)AFP/Shingo Ito