【東京 8日 AFP】安倍晋三首相が4月に行われた靖国神社の春季例大祭で、神前にささげる供え物を「内閣総理大臣」の肩書で奉納していたことが、8日明らかになった。

 複数の報道機関によると、首相が奉納したのは、神事に使う「真榊(まさかき)」と呼ばれるサカキの鉢植え1基。参拝はしていないという。

 朝日新聞によると、首相による奉納は中曽根康弘元首相(在任期間1982-1987年)以来約20年ぶりだという。

 読売新聞は、今回の内閣総理大臣名での奉納に対し、「中国などからの反発も予想され、調整が進められている首相の訪中や中国の胡錦濤(Hu Jintao)国家主席の来日にも影響を与える可能性がある」と指摘している。

 小泉純一郎前首相は、在任期間中、靖国神社に計6回参拝。前年には8月15日の終戦記念日に参拝し、中国と韓国から激しい反発を招いた。同9月に就任した安倍首相は、就任直後に両国を訪問し、関係修復にあたった。4月11日には中国の温家宝(Wen Jiabao)首相が中国の指導者として7年ぶりに来日し、日中関係は改善の途についたばかり。

 安倍首相は、首相就任以前は靖国参拝を声高に支持していたが、就任後は、靖国参拝を行うかどうかについてコメントを避けていた。

 春季例大祭初日の4月23日には、閣僚2人を含む国会議員39人が参列したという。

 写真は2005年8月15日の終戦記念日、靖国に参拝する安倍自民党幹事長代理(当時)。(c)AFP/Kazuhiro NOGI