【11月26日 AFP】サウジアラビアのイスラム教聖地メッカ(Mecca)で25日、約250万人が参加する大巡礼「ハッジ(Hajj)」が始まった。この日は朝から大雨となり、メッカから近郊のミナ(Mina)に徒歩で向かっていた巡礼者たちはずぶ濡れになった。

 大雨によって、巡礼者らを乗せたバスが数時間も立ち往生するなど交通も混乱した。これを受け、巡礼者の一部は、ミナで一晩を過ごす儀式をあきらめなければいけないという。このため、ミナに行けなかった巡礼者はメッカにとどまり、26日朝に直接アラファト山(Mount Arafat)に向かうという。アラファト山は、預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)が最後の説教を行った場所で、巡礼者たちはここでコーランを朗唱し祈りをささげる。

 この日の大雨では、洪水の可能性も懸念されていた。メッカ近郊のジッダ(Jeddah)では、洪水によって少なくとも11人が死亡している。ジッダからメッカに向かう道路でも、数百人の巡礼者を乗せた複数のバスが立ち往生している。ジッダは、海外からの巡礼者のほとんどが利用する聖地への入り口にあたる都市。

 サウジアラビアの電力会社によると、暴風雨によって、メッカやメディナ(Medina)、ジッダの一部で停電が発生したという。

 ハッジでは、巡礼者たちは白い衣服を身につけ、メッカの聖モスク(Haram Grand Mosque)のカーバ(Kaaba)神殿の周りを回るなどの一連の儀式を行う。

 ハッジが正式に開始する前に、巡礼者4人が新型インフルエンザA型(H1N1)で死亡したとの報道があったものの、巡礼者たちは新型インフルを心配している様子はほとんどない。サウジ保健当局者が25日、AFPに語ったことろによると、新型インフル感染が確認された、もしくは疑いがある巡礼者はわずか67人だという。この当局者は「すべては順調に進んでいる。神のご加護だ」と語った。(c)AFP/Adel Zaanoun