【1月5日 AFP】ローマ法王庁が発行する日刊紙「オッセルバトーレ・ロマーノ(L'Osservatore Romano)」に3日、「経口避妊薬は環境を汚染し、男性不妊の原因ともなっている」との見解を示した報告書が掲載された。

 報告書では、カトリック医学協会国際連盟(International Federation of Catholic Medical Associations)のペドロ・ホセ・マリア・シモン・カステルビ(Pedro Jose Maria Simon Castellvi)総裁が、「ここ数年で、経口避妊薬を服用した女性の尿を通じて、数10トンものホルモンが自然界に放出され、環境に壊滅的なダメージを与えている」と警告。

 また、「欧米社会における男性不妊の原因は、大部分が経口避妊薬による環境汚染によるものだと示す充分な証拠がある」「(経口避妊薬)メーカー側の説明も求めていくべきだ」などとも述べている。

 この見解に対し、複数の機関が直ちに反論を寄せている。

 ある避妊薬の研究機関は、「経口避妊薬として服用し体内に取り込まれたホルモンは、再び女性ホルモンの特性を持つことはない」とのコメントを出した。イタリア薬理学協会も、「ピル(経口避妊薬)に含まれるエストロゲンなどのホルモンは、プラスチックや消毒剤、食肉など、身の回りのあらゆる所に存在するものだ」との見解を示した。

 ローマ法王ベネディクト16世(Pope Benedict XVI)は前年10月、妊娠中絶に反対する教会の立場を改めて鮮明にしている。(c)AFP