【4月8日 AFP】男子偏重傾向のあるインドで最近行われた人口調査で、男子に対する女子の比率が1947年の独立以来、最低となった。

 10年前の調査で6歳未満の男子1000人に対し927人だった女子は、今回調査では914人に減っていた。世界平均の男女比率は逆転しており、男子1000人に対して女子1050人。この間のインドの経済成長にもかかわらず、女子を持つことに対する社会的偏見が根強いことが示された。デリー大学(Delhi University)の社会学者ギーティカー・ヴァスデーヴ(Gitika Vasudev)氏は「わたしたちは進んだ国の市民だなどと言う前に、この数字について100回くらい考えたほうがいい」と批判的にコメントした。

 インドでは結婚する際、女性は莫大な持参金が必要なため、家庭にとって女子は負担とみなされることが少なくない。このため古くは女児のうちに殺してしまう例が長いことあった。一方、現代では医療技術の発達を背景に、女児だと分かった段階で中絶してしまう例が増えている。

 胎児の性別による中絶は違法だが、超音波による性別判定検査は10ドル程度と安価で簡単にできる上、明るみにも出にくいため後を絶たない。英医学専門誌ランセット(The Lancet)の2006年の研究によると、インドでは推定で毎年約50万人もの女子の胎児が中絶されている。

 急速な経済発展によりインド社会が豊かになる中、歴史的な男子偏重は消えていくとの期待もあるが、まったく逆だという声もある。ジャワハルラル・ネール大学(Jawaharlal Nehru University)の人口統計学者P.M. クルカルニー(P.M. Kulkarni)氏は「裕福なインド人ならば性別検査はしないというのは誤解。富裕層の中には、自分たちは子どもの性別を選ぶ権利があると思っている人たちさえいる。女児を救うためには、社会や物の見方、人びとの態度が変わらなければなりません」(c)AFP/Rupam Jain Nair