【7月5日 AFP】フォーミュラ・ワン(F1)の開催権利等を管理するFOAFormula One Administration)のバーニー・エクレストン(Bernie Ecclestone)会長が、ナチス(Nazi)総統アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)を「実行力のある人物だった」と擁護する発言をし、物議を醸している。

 エクレストン会長は4日のタイムズ紙(The Times)のインタビューで、ヒトラーが強力なリーダーシップを備えていたと讃え、自分自身は民主主義よりも全体主義を好むと述べた。

「こういうことは言ってはいけないのかもしれないが…ヒトラーが本当にやりたいことをやっていたのか、言いくるめられていたかは別として、彼はある意味、命令を下して大勢の人間を動かすことができ、物事を実行する能力があった」とエクレストン会長は語った。

「最終的にヒトラーは方向性を失ったわけで、優れた独裁者ではなかった。状況を把握していたにもかかわらず固執したのか、それともそのまま流されたのか…とにかく、どちらにしろ彼は独裁者ではなかったのだ」

 また同会長は、マーガレット・サッチャー(Margaret Thatcher)元英首相のような強力な指導者を好むと述べ、国際自動車連盟(International Automobile FederationFIA)のマックス・モズレー(Max Mosley)会長が首相に向いていると提案している。

「マーガレット・サッチャーはすぐに決断を下し、やるべきことをやっていた。徐々に国力を増強していった。われわれはそれを再び弱体化したのだ。ゴードン・ブラウン(Gordon Brown)やトニー・ブレア(Tony Blair)の奴らは常に皆を喜ばせようとしているだけだ。マックスはすばらしい仕事をするだろう。彼は良い指導者だ」

 さらに「政治家は選挙のことを心配しすぎている。サダム・フセイン(Saddam Hussein)を排除するという考えに(英国が)賛同したのはひどい過ちだった。フセインはあの国をコントロールできた唯一の人物だったからだ。タリバン(Taliban)についても同じことが言える」とも語った。

 この発言に対し、ユダヤ系英国人団体「Board of Deputies of British Jews」の広報担当者は「エクレストン会長のヒトラー、女性、黒人、ユダヤ系オートレース選手に関するこれまでの発言は極めて異常。会長は『わたしは政治に向いてない』と言っていますが、その言葉には賛成ですね」とコメントしている。(c)AFP