【4月29日 AFP】副作用のうわさを恐れ、過去にはしかワクチンの接種を受けていなかった英国の親たちが現在、予防接種を受けるために病院にかけこんでいる──ウェールズ南部スウォンジー(Swansea)で、はしかが流行しているためだ。

 昨年11月以来、スウォンジーとその周辺では、1000人近くがはしかに感染しており、特に10歳から18歳までの子どもたちを直撃している。地域の週末診療所は4週にわたって診察を続けており、これまでに6000人が訪れたという。

 はしかの流行について保健当局は、アンドルー・ウェークフィールド(Andrew Wakefield)医師の論文に「起因」するものと明言している。1998年に発表されたこの論文は、現在では信頼性が広く疑問視されているが、はしかとおたふく風邪、風疹の新三種混合(MMR)ワクチンと自閉症に関連性があるとするもので、メディアなどでも広く取り上げられた。ワクチンを接種しなかった人々への感染で、論文の影響力が今になって現れた形だ。

 はしか流行の中心地はウェールズ第2の都市スウォンジーだが、イングランドでも、はしかの全般的な感染増加がみられている。1~3月までにはしかにかかった人はイングランド全体で587人、ロンドン(London)だけで68人に上った。昨年の患者数は2000人で記録的な数字に達した。

 AFPの取材に、イングランドの公衆衛生サービス(Public Health EnglandPHE)のShamez Ladhani医師は、「ロンドンはもちろん、マンチェスター(Manchester)やリバプール(Liverpool)といった他の都市でも、はしかの感染拡大を食い止めなければ大流行が起きる危険性がある」としており、「個々人と全住民を守るために、多くの子どもたちになるべく早く予防接種を受けさせる必要がある」と述べている。(c)AFP/Ruth HOLMES