【5月5日 AFP】世界19の国・地域で展開するファッション誌ヴォーグ(VOGUE)が今後、編集ページで使うモデルは16歳以上の健全なモデルに限定するとの声明を発表した。世界のファッション界をリードする同誌の美意識の転換といえる動きで、影響が注目される。

 ヴォーグは2010年にフランス版で10歳の少女をモデルとした写真を掲載し、世論の怒りを招いた経緯がある。

 今回の誓約には、この仏ヴォーグのエマニュエル・アルト(Emmanuelle Alt)編集長を含め、グループ最大のアメリカ版ヴォーグのアナ・ウィンター(Anna Wintour)編集長ら、19人の編集長全員が合意しており、各国版間の協定として各誌に掲載される。協定は6項目あり、年齢を承知の上で16歳未満のモデルを使用しないことや、「摂食障害があるように見える」人物をモデルとして使用しないことなどを掲げている。

 また編集者からモデル事務所側に未成年のモデルを派遣しないよう要請したり、撮影前にモデルたちの身分証明をチェックするようキャスティング担当者に指示するほか、食事の選択肢なども含めた「健全な仕事場作り」を目指すという。 

 さらにファッションデザイナーには義務付けてはいないものの、「サンプル(ドレス)のサイズが非現実的なほど小さければ、極端に細いモデルの使用につながるという結果を考えてほしい」と問題意識を喚起している。

 グループを束ねるコンデナスト・インターナショナル(Conde Nast International)のジョナサン・ニューハウス(Jonathan Newhouse)会長は、「ヴォーグは健康こそが美しいと信じている。ヴォーグの編集長たちは、彼らがモデルや読者の健康を気遣っていることを誌面に反映させたいと願っている。わたしたちの目から見て健康で、また健康的な身体イメージの普及に貢献してくれるモデルと仕事をしていく」と述べた。

 労働環境改善を掲げるモデルたちの団体「モデル同盟(Model Alliance)」が、米ニューヨークを拠点に活動するモデル241人を対象に最近行った調査によると、回答したモデルのうち54.7%が13歳から16歳の間にキャリアをスタートさせていた。

 また64%が所属するモデル事務所に減量を求められた経験があった。「摂食障害は珍しくない。ドラッグの使用が業界ではまん延していることも報告されている。その上、回答したモデルの3分の2が不安感やうつに悩まされていると答えている」と同調査は警告している。(c)AFP

【関連記事】ヌードで拒食症に警鐘鳴らした元モデル、28歳で死去