【5月17日 AFP】ビデオゲームで遊ぶ時間が多い米国の10代の若者たちは、この年代に推奨されている8~9時間の睡眠時間をとれていないことが多いとの研究結果が16日、米精神医学会(American Psychiatric AssociationAPA)年次総会で発表された。

 また報告によると、睡眠時間が1日7時間以下の10代は、運動不足気味でもあることが分かった。

 研究を発表したのは、アーカンソー医科大学(University of Arkansas for Medical Sciences)で精神医学を研究するカリス・フィッツジェラルド(Caris Fitzgerald)氏率いるグループ。米疾病対策センター(US Centers for Disease Control and PreventionCDC)の「若者のリスク行動調査2009年版(2009 Youth Risk Behavior Survey)」に掲載された10代、1万6000人分のデータを分析した。

 研究によれば、十分な睡眠をとっている10代米国人は、全体のわずか10%程度。夜間の睡眠時間が少ないと、けん怠感や集中力不足、イライラ、衝動的行動を起こしがちになり、自殺願望も高まる。フィッツジェラルド氏は、睡眠不足は誰にとっても有害だが、10代には特に有害な効果を及ぼすと指摘した。

「(10代のころは)成長や記憶維持がいっそう求められており、彼らの人生の成功を考える上で非常に重要なことがらである」とフィッツジェラルド氏は述べ、十分な睡眠時間は10代にとって特に重要だと語った。

 しかし、大人と比べて10代のほうが、十分な睡眠時間をとることができていないのが実情だ。夜遅くまで起きていることは、親から独立したいという欲求の表れで、深夜にテキストメッセージを送るといった行動につながるとフィッツジェラルド氏は指摘する。また、24時間の周期リズムも10代のころは異なっていて、夜起きて朝に寝るという行動になりがちだという。

 研究チームは、オンラインゲームなどで遊ぶことと、睡眠時間との間に因果関係を突き止めることはできなかった。だが、フィッツジェラルド氏は「オンライン・ゲームで遊ぶ時間を減らし、体を使った運動を増やせば、10代の睡眠時間が増加するという研究もある」と指摘した。(c)AFP