【10月18日 AFP】うつ病を発症するメカニズムにおいて重要な役割を担っているとみられる遺伝子を突き止めたと、米エール大(Yale University)の研究チームが17日、英医学誌「ネイチャー・メディスン(Nature Medicine)」に発表した。新薬開発につながる可能性に期待が寄せられている。

 研究チームは、うつ病と診断された後に死亡した21人の遺伝子と健康な18人の遺伝子とを比較して、「MKP-1」と呼ばれるこの遺伝子を突き止めた。論文によるとMKP-1は、神経細胞(ニューロン)の生存と機能に不可欠な脳内化学物質「MAPK」のカスケード(連鎖)を遮断する役割を果たしているという。

 研究では、MKP-1を不活性化させたノックアウトマウスを作り、うつ病とMAPKの関連性を調べた。すると、MKP-1ノックアウトマウスはストレスに対する回復力があったが、MKP-1を持つマウスはストレスに対してうつ病に似た症状を引き起こした。このマウスに抗うつ剤を処方したところ、症状は緩和したという。

 論文主筆者のロナルド・ダンマン(Ronald Duman)教授(精神医学・薬学)は、「(MKP-1によるカスケード遮断が)うつ病の原因となる神経伝達異常の主原因か、少なくとも大きな要因である可能性が高い」と結論付けた。

 エール大学は、今回の発見により「MKP-1が、とりわけ治療の効かないうつ病に対する新薬のターゲット候補になったといえる」と声明で述べている。(c)AFP

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