【8月29日 AFP】進行した特定の悪性黒色腫(メラノーマ)の患者に新薬を実験的に投与したところ、約80%の患者で腫瘍が縮小したとの研究が、米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」の8月26日号に掲載された。

 この新薬「PLX4032」は経口薬で、がんを進行させる突然変異遺伝子「BRAF」を無効化することができる。論文の上席執筆者で、米スローン・ケタリング記念がんセンター(Memorial Sloan-Kettering Cancer Center)の医師、ポール・チャップマン(Paul Chapman)氏は、「メラノーマやそのほかの固形腫瘍で80%という高い反応率は前例がなく、この研究は目覚ましい成果だ」と述べた。

 また、論文の主執筆者で、米マサチューセッツ総合病院がんセンター(Massachusetts General Hospital Cancer Center)のキース・フラハティ(Keith Flaherty)氏は、「転移性メラノーマは予後の悪いことが多く、若い患者のがんによる死因で最も多いものの1つ」と述べ、「現在のところ治療法は少なくその信頼性も低かったが、この発見により、この突然変異遺伝子が原因の腫瘍の患者の予後の見通しが大きく変わる可能性がある」と語った。

 メラノーマ患者の約半数で起きるBRAF突然変異ががんを進行させているとの発見があり、そこから今回の新薬の開発につながった。早期のメラノーマは手術で除去できるが、一旦広範囲に広がった後は有効な治療法はほとんどなかった。今回の研究成果は、症状が進行した患者の治療法を大きく進展させる可能性もある。(c)AFP