【8月16日 AFP】ファストフード・チェーン店はハンバーガーやフライドポテトと一緒に、コレステロール低下薬として知られる「スタチン」を無料配布してはどうか――英国の研究者たちがこんな提案をしている。

 スタチンは、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールを低下させる作用があり、心臓発作など心疾患リスクの抑制に効果が高いことが多くのデータで示されている。

 英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)国立心臓肺研究所(National Heart and Lung Institute)の研究チームは前週、スタチン製剤を服用すれば、ファストフードの脂肪によって高まるリスクを相殺できる発表した。スタチン剤1個で、チーズバーガー1個とSサイズのシェイクドリンク1杯分のリスクを抑えられるという。

 研究チームのダレル・フランシス(Darrel Francis)博士は、「ハンバーガーやフライドポテトがもたらす不健康な害のすべてをスタチンが取り除くわけではないので、脂肪の多い食品を避けるほうが良いことに変わりはない。しかし心臓発作の発症率については、ファストフード1食分で増える程度のリスクを、スタチン服用で下げることができる」と語っている。

 一方で、この報告に懐疑的な見方を示す専門家もいる。英心臓基金(British Heart Foundation)のピーター・ウェイスバーグ(Peter Weissberg)医療ディレクターは、「ジャンクフードの有害な影響を、コレステロール低下剤のスタチンで消すことができるかもしれないなどという主張を、額面どおり受け取るべきではない」と警告した。

 同氏は「ジャンクフードにはコレステロール上昇以外にも不健康な要素はたくさんある」と指摘。塩分摂取過多による血圧の上昇や肥満などを挙げ、「スタチンは心臓病にかかっている人や、少なくともそのリスクが高い人にとっては重要な薬だが、特効薬ではない」と釘を刺した。(c)AFP