【3月17日 AFP】予防法や治療法で飛躍的な進歩があったにもかかわらず、がんは世界中で死亡原因のトップになりつつある。理由としては、人びとが体に良くない生活習慣を改めないことや社会の高齢化が指摘されている。

 16日に行われた米医学誌「米国医師会雑誌(Journal of the American Medical AssociationJAMA)」のがん専門版の発表に当たり記者会見した、米国がん協会(American Cancer SocietyACS)の伝染病学者Susan Gapstur氏は、医療の進歩と教育キャンペーンのおかげで、米国ではがんの死亡率はこの20年で約16%減少したと語った。

 一方で、米国では2009年には150万人ががんにかかり、56万人が死亡している。今年には、心疾患を抜いて世界で最も死者数の多い病気になると予測されている。

 理由の1つは、がんは通常55歳以上でかかることが多く、人びとの寿命が延び、社会の高齢化が進むに従い、がんと診断されるリスクが高くなってきていることだ。2つ目の理由としては、喫煙などの人びとの不健康なライフスタイルが挙げられる。

 Gapstur氏は、世界中で喫煙人口が増加していることで「世界的ながんのパンデミック(大流行)」が発生すると指摘。今年は虚血性心疾患を抜き、世界で最も死亡者数の多い病気となるとしている。

 米国人は喫煙以外にも、太りすぎや肥満に要注意しなければいけない。Gapstur氏も「最新の試算では、米国人は成人の3分の2が太りすぎか肥満だという。こうした状態はさまざまな種類のがんの原因となる」と指摘している。実際、米国がん協会によると、米国では毎年、太りすぎや肥満が原因で10万人以上ががんにかかっているという。

 一方で、米国メディアはがんを克服した話ばかりに注目し、がんとの戦いに敗れた話にはあまり目を向けないとの指摘もある。2005~07年に米国で発表されたがんに関する記事は400本以上あったが、がんで死亡した人に関する記事はわずか7.6%にすぎなかった。(c)AFP/Karin Zeitvogel