【2月5日 AFP】インフルエンザウイルスが人の細胞に感染し増殖していく仕組みを解明したと、フランスの研究チームが4日の英科学誌「ネイチャー(Nature)」に発表した。

 研究チームは、インフルエンザウイルスが増殖する時に働く酵素「ポリメラーゼ」に着目した。ポリメラーゼは細胞が属する器官に対し、ウイルスタンパクの量産を働きかける役割を担う。

 このときポリメラーゼは、細胞の分子から「キャップ」と呼ばれる遺伝子標識を切り取って自分の遺伝子に結合させる。キャップは、プロテイン生産ラインを起動する認証キーのような役割を持っているため、ウイルスタンパクの量産が可能になる。

 今回の研究の結果、キャップを実際に切り取っているのは「PA」と呼ばれるポリメラーゼのサブユニットであることがわかったという。

 研究に参加した欧州分子生物学研究所(European Molecular Biology LaboratoryEMBL)のStephen Cusack所長は、「感染予防のためには、キャップの分裂を防ぎウイルスが増殖できなくすることが効果的だ。今後は、PAを標的にした抗ウイルス剤を開発していけばいいことがはっきりした」と語っている。

 世界保健機関(World Health OrganisationWHO)によると、インフルエンザは世界で毎年300-500万件の感染が報告されており、感染者の25-50万人が死亡している。(c)AFP