【1月29日 AFP】英貴族院議員で、バロネス(女男爵)の称号ももつ高名な女性医師が、34年前の悪ふざけを告白した――。その悪ふざけとは「Cello scrotum(チェロ睾丸)」という症状をでっち上げたというものだ。

 過去の悪ふざけを告白したのは、ロンドン(London)のセント・トーマス(Guy's and St. Thomas's Hospital)病院の元教授で、英国民健康サービス(National Health ServiceNHS)の監督委員会委員でもあるエレイン・マーフィー(Elaine Murphy)医師。

 同医師は1974年5月、夫のジョン・マーフィー(John Murphy)氏と共同で、英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical JournalBMJ)」にいたずらの書簡を送ったという。同誌にはしばしば、珍しい症例などについての医師からの寄稿が掲載されている。

 イレーヌ医師が書簡を送ったのは、ある医師が報告した「guitar nipple(ギター乳首)」という症状が掲載されたことに応えてのものだったという。guitar nippleとは、3人の若いクラシックギター奏者に見られた症状で、ギターの端が胸部を圧迫し、結果的に片方の乳首に炎症を起こすというもの。

 マーフィー夫妻はBMJの最新号上で「わたしたちは、これは絶対悪ふざけだろうと思い、さらに一歩進めてチェロ奏者での同様の症状を考えついた」といたずらだったことを認め「チェロの演奏を見たことがある人なら、わたしたちの主張が物理的に不可能なことはすぐわかるはずだと思っていたけど、驚いたことにそのまま掲載されてしまった」と語った。

 マーフィー夫妻の書簡には、意図的にジョンさんの署名しか記されていなかった。ジョンさんは医師ではなく、医療監視団体の目も逃れることができたという。

 マーフィー夫妻は、このいたずら書簡で一躍有名になったが、前月、音楽関係の疾患に関する論文の参考文献に使用されていたことを知り、告白することを決意した。

 BMJは、この一連の出来事を冗談めかして「Scrotumgate(タマ・ゲート事件)」と呼んでいるという。(c)AFP