【1月15日 AFP】漢方治療が更年期の症状を緩和できるという根拠はほとんど、または全くないという論文が、14日の英国医師会(British Medical Association)の専門誌「Drug and Therapeutics Bulletin」に発表された。

 イライラ、疲労、ほてり、性欲減退などの更年期障害を緩和するために漢方薬に頼る女性は年々増えている。使用される主な漢方薬は、ブラック・コホッシュ、アカツメクサ、ドンクアイ、マツヨイグサ、朝鮮人参などだ。 

 研究チームはこうした漢方薬の臨床研究に着目し調査した結果、大半の研究が、科学的基準の観点から漢方薬の効能や安全性を充分に実証できていないことがわかった。

 たとえば、断定的な結果を得るには被験者が少な過ぎる、または実験期間が短すぎる、といった研究も多数あった。また、要件を満たした実験であっても、ブラック・コホッシュは「有効である」とする証拠、「有効ではない」とする証拠が示されるなど、実験間にばらつきが見られた。 

 英国の監視機関はブラック・コホッシュが含まれた製品について、更年期のための「伝統的な漢方薬」に認定しているが、同時に、この植物が肝臓に悪影響を及ぼす可能性についても言及している。

 漢方薬は店頭やネットで容易に購入でき、「自然製品」の文字がしばしば「安全」を想起させる。論文はこの点についても、「漢方薬には薬理作用があるため、思わぬ症状が出ることがあり、他の漢方薬や医薬品と併用すると危険な場合もある」と注意を促している。(c)AFP