【11月24日 AFP】C型肝炎の治療薬として試験中の薬剤が、ラッサ(Lassa)熱ウイルスと同系列のウイルスなど2種類のウイルスに対し、大きな効果を発揮するとの動物実験結果が23日、英医学誌「ネイチャー・メディスン(Nature Medicine)」に発表された。
 
 この薬剤はBavituximabと呼ばれるモノクローナル抗体で、C型肝炎の治療薬として米カリフォルニアの製薬企業ペレグリン・ファーマシューティカルズ(Peregrine Pharmaceuticals)が臨床試験を行っている。
 
 モルモットを使った動物実験でBavituximabの効果が確認されたのは、米国防省が生物兵器テロへの使用を警戒するラッサ熱ウイルスに近いピチンデウイルス(Pichinde virus)と、免疫力低下時に感染症を引き起こすサイトメガロウイルス(cytomegalovirusCMV)だ。

 まず、ピチンデウイルスに感染したモルモットを使った実験では、Bavituximabを接種したモルモットの生存率は50%だったが、接種しなかったモルモットはすべて死亡した。また従来の標準的な抗ウイルス薬リバビリン(ribavirin)と併用した場合、生存率は63%まで向上した。

 一方、サイトメガロウイルスに関しては、Bavituximabを接種しなかったモルモットの生存率は25%だったのに対し、Bavituximabを接種したモルモットは1匹も死ななかった。

 どちらのウイルスも変異を起こして感染しやすくなったり、既存の医薬品分子に抵抗力が強いことで知られていた。

 しかし、Bavituximabはウイルスに対し「正面対決」を挑むのではなく、ウイルスが細胞に感染するまで待つことが分かった。感染した時点で、通常は細胞壁の内側表面に存在するリン脂質、ホスファチジルセリン(phosphatidylserine)が細胞の外側に現れると、Bavituximabがホスファチジルセリンに取り付き、感染細胞を破壊するために白血球細胞を送るよう免疫系に危険信号を送った。

 論文の共著者である米テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンター(UT Southwestern Medical Center)のフィリップ・ソープ(Philip Thorpe)教授は、ウイルスの変異という大問題を回避できる新しいレベルの抗ウイルス薬への道が開けるかもしれない、と興奮気味に語った。

 細胞壁の外側へのホスファチジルセリンの出現は、インフルエンザや単純ヘルペス、天然痘や狂犬病のウイルス、HIVウイルスに感染したときにも起こることが過去の研究で確認されている。(c)AFP