【6月22日 AFP】オーストラリアのベーカー心臓研究所(Baker Heart Research Institute)は19日、米国よりも豪州のほうが肥満人口の割合が高く、なんらかの措置を講じない限り、豪州の医療保険制度は崩壊するとの調査報告を発表した。

 報告によると、オーストラリア国内では45-65歳の男性の7割、女性の6割で、肥満度指数(BMI)が25を超えているという。BMIは20-24が標準値。

「Australia's Future Fat Bomb(豪州を脅かす脂肪爆弾)」と題されたこの報告書は、2005年にオーストラリアの成人男女1万4000人を対象に身長と体重を調査し、その考察結果をまとめたもの。

 同研究所のサイモン・スチュワート(Simon Stewart)教授(予防心臓病学)は調査結果について「肥満度を競う五輪があれば、わが国が金メダルを獲得するだろう」と語り、肥満度において豪州は米国さえもしのぐ世界一の国だとの見解を示した。

 スチュワート氏はまた、2100万人の人口のうち「当初の予測より100万人も多い」約900万人が肥満または太りすぎと推測されることから、医療保険制度の未来が脅かされることも懸念。「将来的には、ひざ関節の痛みや心臓まひや脳卒中といった肥満に起因する疾患での入院が急増し、医療保険制度に影響が出るだろう」と指摘した。

 連邦政府に提出された報告書は、今後20年で肥満に起因する心疾患で新たに70万人が入院し、12万5000人が死亡すると推定している。

 報告書はさらに、禁煙キャンペーンや皮膚ガン防止キャンペーンにならい、全国規模の減量キャンペーンの実施も呼び掛けている。トレーニングジムや個人トレーニングにかかる費用の補助や、病院で体重の減量度に基づいて診察の順番を決めることにより、太った人の減量意欲をかきたてる策も提案している。(c)AFP