【5月27日 AFP】鳥インフルエンザのいくつかの型は、ヒトの大流行を引き起こすために必要な特質を備えつつあるという研究が、26日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)で発表された。

 これによれば、近年発生した鳥インフルエンザウイルスのサンプルを分析した結果、いくつかのH7型ウイルスで人間の気管細胞上にある糖類との親和性が増していることが明らかになったという。H7型ウイルスは2002年から2004年にかけて、軽度の感染例が北米で確認されている。

 フェレットを用いて行われたその後の研究で、これらのウイルスの伝染性は高くないことが分かった。しかし、2003年にニューヨーク(New York)の男性から採取されたH7N2型ウイルスの1つは、フェレットの気道内で増え、フェレット間で伝染することが確認された。つまり、ヒト間で伝染する可能性があることを示している。

 この結果から、研究者はこのウイルスが今後も進化を続け、1918年、1957年、1968年に世界的に大流行したウイルスのように、糖類と強く結合する特性を持つようになる可能性を指摘した。

 米ジョージア(Georgia)州の州都アトランタ(Atlanta)にある米疾患対策予防センター(US Centers for Disease Control and PreventionCDC)の上席微生物学者Terrence Tumpey氏は「H7型ウイルスはある程度、ヒトのインフルエンザウイルスが好むレセプター(受容体)を認識できるようになってきていることが分かった」と語る。

 研究者らは、これらのウイルスがこの方向で進化を続けるなら、これまでよりも容易にヒトと動物の間を移動できるようになると指摘。鳥インフルエンザウイルスを徹底的に監視し、大流行が起きた場合に備えて国家規模で準備を整えることを求めている。(c)AFP