【12月10日 AFP】先史時代の洞窟壁画の描き手たちは、近代の芸術家よりも四足歩行の動物の動きをとらえるのが上手だったとする研究が、5日の米科学誌「プロスワン(PLoS ONE)」に掲載された。

 研究を発表したのはハンガリー、ブダペスト(Budapest)のエトベス大学(Eotvos University)の研究チーム。四足歩行の動物はそれぞれの脚を動かす方法に類似点があり、1880年代前半に英写真家エドワード・マイブリッジ(Eadweard Muybridge)がこの動きの流れを研究した。

 研究チームは洞窟壁画に描かれたウシとゾウの絵画を分析。また、ウマやゾウなどの動物が運動する様子を描いたさまざまな像や絵画も調べた。

 結果、動物の歩く姿や小走りする姿を描いた像や絵画の中には、科学的には脚の場所が間違っているものがしばしば存在した。

 研究チームによると、先史時代の絵画では誤りは46.2%でしか見られなかったが、「マイブリッジ以前の近代芸術」では83.5%の事例で、運動する動物の姿が誤って表現されていた。一方、1887年以降は、この誤りも57.9%まで下落したという。

 研究チームは、動物の運動を描く人類の能力が1887年以降になぜ向上したのかについては明らかになっていないと述べている。(c)AFP