【6月24日 AFP】カナダのケベック市(Quebec City)で7月に開かれる国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の世界遺産委員会で、ドイツ東部の古都ドレスデン(Dresden)が世界遺産のタイトルをはく奪される可能性が出てきた。関係者が20日明らかにした。

 7月2-10日に開催される同委員会では、登録されている遺産の状況評価を行うと同時に、各国から申請されている47件の世界遺産登録候補地の審査を行う。

 18-19世紀の自然を残すドレスデンのエルベ渓谷(Elbe Valley)は今回、渓谷中央部への橋の建設計画決定を受けて、世界遺産から外される可能性があるという。

 全4車線のフォレスト・キャッスル橋(Forest Castle Bridge)の建設に対し、環境保護団体は「エルベ渓谷に生息する希少なキクガシラコウモリが脅かされる」として建設差し止めを訴えたが、裁判所はこれを却下。建設は07年11月に開始された。市民の多くは、交通渋滞が解消されるとして、橋の建設に賛成している。

 今回の世界遺産委員会では、1985年に世界遺産に登録されたイスタンブール(Istanbul)旧市街も、秩序のない都市開発を停止するよう勧告されると予想される。委員会は5月、イスタンブールに調査団を派遣した。

 また今回新たに登録が申請されているのは、スコットランドのアントニヌスの長城(Antonine Wall)、中国の三清山国立公園(Mount Sanqingshan National Park)、北朝鮮の開城(ケソン、Kaesong)の碑石、カンボジアのタイ国境にあるプレアビヒア寺院(Preah Vihear Temple)など。

 ユネスコは前年、登録抹消の初めてのケースとしてオマーンの「アラビアオリックス保護区」を世界遺産から外した。オマーン政府が保護区の面積の90%を削減したことが理由とされた。(c)AFP