【9月13日 AFP】流線型で「ひれ」のある外見から「宇宙のフェラーリ」の異名を持つ科学衛星「GOCE」が、間もなく燃料が切れて地球に落下するという。欧州宇宙機関(European Space AgencyESA)が発表した。

 GOCEミッションの責任者、Rune Floberghagen氏は11日、地球の重力と海洋循環を観測するために2009年に打ち上げられ成功を収めたGOCEは、10月中旬に地球への落下で粉砕される可能性が高いとAFPの取材に語った。

 GOCEは、上空260キロという極端に低い高度の軌道を周回している。この領域には、地球大気の分子がまだ存在している。大気の抵抗を減らすために、矢のような八角形の形状で、空力安定性を強化する2枚のひれを持つGOCEは、完全真空の宇宙空間で動作する箱型の衛星とは全く異なっている。

 英スコットランド・エディンバラ(Edinburgh)で開かれたESAのシンポジウムで同氏は、GOCEはイオンエンジン(電気推進エンジン)の力で上空に滞在しているが、当初41キロあった燃料が現在、約2キロにまで減少していると説明。9月末から11月初めまでのどこかでエンジンが停止する状況に直面しており、10月16日か17日の可能性が最も高いと話した。

■40~50個の破片が降り注ぐ

 GOCEの全長5.3メートルの機体の大半は、高度75キロから80キロにまで落下する間に粉砕されて燃焼するという。再突入の分析によると、総重量1000キロのうちの約250キロが燃え残り、「40個から50個の破片」が900キロメートルの範囲に次々と衝突するという。

 再突入は制御不能のため、一連の破片がどこに衝突するかを指摘するのは現時点では不可能という。同氏は「GOCEの再突入は、他の(制御不能の)再突入に比べるとはるかに小規模で、実際にGOCEは非常に小型の探査機だ。われわれはこのことを大局的に捉えて、ここで起きていることを誇張しすぎないようにするべきだ」と述べ、ESAは各国当局に向けて、この件に関する勧告を出す予定だと付け加えた。(c)AFP