【7月29日 AFP】極めて強力な温室効果ガスのメタンが海底に埋まっている場所に、地震で裂け目ができる可能性があるという研究論文が28日、英科学誌ネイチャージオサイエンス(Nature Geoscience)で発表された。

 ドイツとスイスの科学者らが発表した今回の論文では、地震が原因で漏出するメタンガスを、世界の気候システムに影響を及ぼす温暖化炭酸ガス放出のリストに追加するべきとしているが、その影響の大きさはまだ明らかになっていないという。

 この証拠は、海洋科学者らによる2007年の現地調査で、アラビア海(Arabian Sea)北部の海底で掘削された堆積物コアから得られた。堆積物コアを調べたところ、海底からほんの1.6メートルの深さの地層に、メタンと水が固体の氷状の結晶構造を成すメタンハイドレートが含まれていることがわかった。また、堆積物粒子間の水や、重晶石(バライト)と呼ばれる鉱物の集まりからも、証拠となる痕跡が発見された。

 これらの証拠はともに、過去数十年間に、メタンガスが海底から漏出したことを示唆していた。

 ドイツ・ブレーメン大学(University of Bremen)海洋環境科学センター(MARUM)のデービッド・フィッシャー(David Fischer)氏は「文献調査を開始して、1945年に巨大な地震がすぐ近くで発生していたことがわかった」と語る。「いくつかの指標に基づき、この地震が原因で堆積物に割れ目が生じ、ハイドレートの下に閉じ込められていたガスが海中に放出されたと推論した」

 フィッシャー氏らの調査では、アラビア海北部でこれまでに観測された中で最大のマグニチュード(M)8.1の地震を原因として挙げている。

 おそらく数十年間にわたって、約740万立方メートルのメタンガスが海面に噴出した、と論文の著者らは見積もっている。これは、天然ガス輸送用の巨大タンカー10隻分に相当する。これは控えめな見積もりであり、この地域には、この地震で裂け目ができた場所が他にも複数存在する可能性が高いと論文は述べている。

 メタンは二酸化炭素(CO2)より寿命は短いが、太陽熱を吸収する効率が25倍高いため、地球温暖化問題でメタンに対する懸念が高まっている。(c)AFP