【7月17日 AFP】米航空宇宙局(NASA)の発表によると、国際宇宙ステーション(International Space StationISS)で16日、船外活動中のイタリア人宇宙飛行士がヘルメット内に「変な」味の水が漏れているのに気付き、予定より早く活動を切り上げることを余儀なくされた。

 NASAは、このような事態を招いた原因を現在調査中だが、宇宙飛行士らには何も危険はなかったと強調している。

 今回の船外活動時間は、2004年の14分間に次いで史上2番目に短かった。2004年の船外活動は、ロシア製宇宙服の圧力センサーの故障が原因で早々に打ち切られた。

 欧州宇宙機関(European Space AgencyESA)のルカ・パルミターノ(Luca Parmitano)飛行士(36)は、船外活動を開始してわずか1時間あまりでヘルメット内の液体を報告し、ISSのクエスト(エアロック)に急きょ戻された。乗組員が手伝ってパルミターノ飛行士のヘルメットを外すと、水滴がいくつか浮遊するのが見えた。その後間もなく、パルミターノ飛行士は、ヘルメットの後部内側から漏れてきたと思われる奇妙な液体について、仲間の飛行士らに説明した。

 米国のクリス・カシディ(Chris Cassidy)飛行士は「ルカは、その水は本当に変な味がすると言っている」と、米テキサス(Texas)州ヒューストン(Houston)にあるNASAのジョンソン宇宙センター(Johnson Space Center)に報告。同飛行士は「その水の味は通常の飲料水の味とは明らかに異なると彼には感じられた」と述べ、船外活動を再開する前に、手掛かりを探すために宇宙服内を満たす液体を技術者らが調査するよう提案している。

 パルミターノ飛行士が宇宙服の下に着用していた全身下着の胴体部分はぬれておらず、液漏れはヘルメット後部付近にある空気流通口から発生したようだ、とカシディ飛行士は付け加えた。

 パルミターノ飛行士は現在も「問題ない」状態とカシディ飛行士は述べており、NASAのテレビ映像は、パルミターノ飛行士がISS内で浮かびながらティッシュで鼻をかむ様子を映した。

 NASA解説員の1人は「どの宇宙飛行士も、あらゆる点で危機的な状況に陥ってはいない」が、液漏れの原因は「容易には特定できない」と述べた。

 パルミターノ飛行士は船外活動を行った最初のイタリア人で、16日の船外活動は、同飛行士にとって2度目の船外活動だった。

 今回の船外活動は、今月予定されていた2回のうちの2回目で、目的は、新しいロシアのモジュールをISSに取り付ける準備と若干の修理作業だった。NASAによると、今回の船外活動の継続時間は1時間32分だったという。当初の予定継続時間は、6時間15分だった。(c)AFP/Kerry SHERIDAN