【6月21日 AFP】人間の脳の超高解像度3Dデジタルモデルを作成したとの論文を、ドイツとカナダの共同研究チームが20日、米科学誌サイエンス(Science)に発表した。これほど詳細なモデルは世界初だという。アルツハイマー病からパーキンソン病にいたるあらゆる病気や障害を研究する科学者に対し、新たな視点を提供することを目的にしているという。

 研究チームは、死亡した65歳の女性の脳を20ミクロメーターの厚さに注意深くスライスして7400個の断片に分け、それらの断片をスライドに乗せて着色し、細胞の形がはっきりしたら高解像度スキャナーを使ってデジタル化した。

「ビッグブレイン(BigBrain)」として知られるこの脳モデルは、典型的なMRIで得られるデータの10万倍ものデータが含まれ、その詳細さは前回の試みの50倍という。

 著者の1人、独ユーリッヒ・アーヘン研究アライアンス(Julich Aachen Research Alliance)のKarl Zilles教授はこの脳モデルについて、「人間の脳が持つすべての細胞と構造をリアルに再現したかつてない3D脳モデル」と話す。

 脳の構造と伝達経路に関する解剖学的基盤が整ったことにより、科学者らは今後、生きている人間の脳の状態に関するさらに詳しい情報を得ることができる。(c)AFP