【5月30日 AFP】ロシアの科学者らは29日、マンモスの死骸の中に残っていた血液を採取することに成功したと発表した。この貴重な発見により、クローン技術を使ったマンモス復活プロジェクトが加速する可能性があるという。

 ロシアの科学者らが率いる探検隊は今月、北極海(Arctic Ocean)の島で保存状態の良い雌のマンモスの死骸を発掘した。

 探検隊を率いた北東連邦大学(Northeastern Federal University)のセミヨン・グリゴリエフ(Semyon Grigoryev)氏によると、このマンモスは1万~1万5000年前に60歳前後で死んだと推定される。高齢の雌マンモスの死骸が発見されたのは初めてだという。

■血液は濃い色、筋組織は新鮮な肉の色

 だが、さらに驚くべき発見は、死骸の中に血液や筋組織が残されていたことだった。グリゴリエフ氏はAFPに「腹部の下の氷を壊したところ、血液が流れ出てきた。非常に濃い色をしていた」と語った。「これは私の全人生の中で、最も驚くべき事例だ。血液が液体で残ることがどうやって可能だったのか。また筋組織も、新鮮な肉と同じ赤色だった」

 グリゴリエフ氏によると、死骸の下半身は水に浸かった後に凍り付いたため、非常に保存状態が良かった。背中や頭部などの上半身は捕食動物に食べられてしまったと考えられている。

■「マンモス復活に希望の光」

 この発見により、マンモス復活の取り組みに新たな希望の光が差したと、グリゴリエフ氏は語る。同氏が所属する北東連邦大は昨年、韓国・秀岩生命工学研究院(Sooam Biotech Research Foundation)の黄禹錫(ファン・ウソク、Hwang Woo-Suk)氏との共同研究協定を締結した。黄氏はクローン技術のパイオニアで、世界初のクローン犬を作り出した人物。

 今回見つかったマンモスの死骸は、韓国、ロシア、米国の研究者らがこれから数か月かけて調査する予定。(c)AFP