【5月9日 AFP】厚い頭蓋骨を持った大型のイヌほどの大きさの新種草食恐竜の化石が発見されたことにより、超大型恐竜たちが支配していた、という従来の恐竜史観が覆されるかもしれないとする研究論文が、7日の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)で発表された。これまで考えられていたよりも多種多様な小型草食恐竜が生息していた可能性が高まったという。

 論文を共同執筆したカナダ・ロイヤルオンタリオ博物館(Royal Ontario Museum)のデービッド・エバンズ(David Evan)氏は「大型と小型、両方の多様な恐竜が暮らす世界だっただろう」と語った。

 現在の地球は、哺乳類や爬虫(はちゅう)類などの小型動物が多く生息している。だが、これまで見つかった化石からは、恐竜が生息していた中生代(2億5000万~6500万年前)は超大型の恐竜たちが多く暮らす世界が浮かび上がっていた。

■多様な小型恐竜が存在していた可能性

 科学者らはこれについて、単に大型恐竜の数が多かったのか、それとも大型恐竜の化石が保存されやすかっただけなのかで意見が分かれていた。

 研究チームによると、後者の説を裏付ける証拠が、カナダ南部アルバータ(Alberta)州のミルク・リバー層(Milk River Formation)で発掘されたた頭蓋骨の断片化石から見つかった。

 化石は約8500万年前に生息していた2足歩行の小型草食恐竜のもので、鼻先からしっぽまでの長さは約1.8メートル、体重は40キログラムと推定される。頭頂部分の頭蓋骨は厚さが10センチ以上あり、他の個体との頭突き対決に使われた可能性がある。

 この特徴から、新種恐竜はギリシャ語で「高いドーム」を意味する「Acrotholus audeti」と名付けられた。分厚い頭蓋骨を持つ恐竜「パキケファロサウルス」の仲間では北米最古の種で、世界最古である可能性もあるとされる。

 研究チームは、パキケファロサウルスの分類におけるAcrotholusの位置を調べた結果、これらの種を含む体重100キロ以下の小型恐竜はこれまで知られていたよりも多様な種が存在するとの結論に達した。(c)AFP