【4月16日 AFP】ビールは、アルコールの中毒作用がなくても、味だけで報酬の感覚を与える脳内物質の分泌を活性化させるとの研究が、15日の米科学誌「Neuropsychopharmacology(神経精神薬理学)」に掲載された。

 研究は、人がどのようにしてアルコール依存症になるかを探るもの。米インディアナ大学(Indiana University)の神経学チームは男性49人を対象に、お気に入りのビールか、ノンアルコールのスポーツ飲料ゲータレード(Gatorade)のどちらかを飲むように指示し、対象者の脳を陽電子放射断層撮影法(PET)で画像化した。

 この実験の目的は、報酬の感覚を与える脳の領域「腹側線条体」にある脳内物質「ドーパミン」の様子を観察することで、アルコールの影響を受けることなく脳を検査するため、ビールは15分おきに大さじ1杯(15ミリリットル)の少量ずつ与えた。

 検査の結果、ビールの味だけでドーパミン受容体が活性化し、その作用はゲータレードをはるかに上回った。また、アルコール依存症の家族歴を持つ対象者は、そうでない人に比べドーパミン作用が極めて大きいことも分かった。(c)AFP