【4月11日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は、恒久的な有人宇宙基地を建設するための長期的計画の一部として、小惑星を移動させて月を周回する軌道に乗せる計画を持っている。米フロリダ(Florida)州選出のビル・ネルソン(Bill Nelson)上院議員(民主党)が、5日発表した声明で明らかにした。

 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は、2014年度の予算編成の方針を示す予算教書の中で、この計画を始めるために約1億ドル(約99億円)の予算をNASAに付けることを提案する。小惑星を捕獲して地球近くまでけん引し、最終的には安定した月周回軌道に乗せるためにロボット宇宙船を導入する計画は、8年以内に実現可能だとされている。

 このような計画は米カリフォルニア工科大学(California Institute of Technology)の専門家らが2012年に初めて提案し、同分野の研究者らと協力して詳しい実現可能性調査を進めてきた。その報告書はこの計画を「人類が宇宙に永続的に居住できるようにするため宇宙に手を加える、人類にとって初の試みとなる」としている。

 専門家の分析によると、現在および将来的に予定されているNASAの予算水準では、2025年までに地球近傍小惑星(NEA)に有人ミッションを送るというオバマ大統領の目標達成は不可能だ。しかし、無人の宇宙輸送船を使って500トン規模の小惑星を地球の近くに移動させれば、人類は早ければ計画より4年早い2021年にも、小惑星に行くことができるようになるかもしれないという。

 ネルソン上院議員は声明で、「(そうなれば小惑星では)採掘活動を行ったり、小惑星が地球に衝突する軌道を変更させたり、深宇宙や火星への旅を実現するための技術開発に向けた試験を実施したりできるかもしれない」と指摘している。(c)AFP