【3月28日 AFP】科学者チームは26日、マダガスカルで発見された、森林に生息する大きな目をした小型動物、ネズミキツネザルの新種2種類を、霊長類の新種として新たに登録した。

 この発見により、ネズミキツネザルの既知種数は20種類になった。ネズミキツネザルは主に木の上で生活する夜行性の動物で、体重はリンゴ程度か、それより軽いとされる。

 2種類のネズミキツネザルは新種として登録されたばかりだが、そのうちの1つは絶滅の危機に瀕していると科学者らは警告する。

 ヒト、類人猿、サルなどが含まれる霊長類は研究が進んでいる動物群で、現存する新種が追加されるのは極めて珍しい。

 米国・ドイツ・マダガスカルの生物学者らは、DNA、体重・体長、頭蓋骨や歯の大きさ、毛の色などを比較して、ミクロセブス属マロヒータ(Microcebus marohita)とミクロセブス属タノシ(Microcebus tanosi)は、それぞれが独立した種であり、どちらもネズミキツネザルの仲間に分類されることを確認した。

 マロヒータは体長約13.5センチで、現在知られているネズミキツネザルの中では最も大きい。ふさふさした尾の先まで含めると全長28センチになり、体重は78グラム。

 学術誌「国際霊長類学ジャーナル(International Journal of Primatology)」に掲載された研究論文によると、毛は茶色で、後ろ足が比較的大きく、耳は小さい。発見地であるマダガスカル東部の森林の名前をとって命名されたという。マロヒータは原住民の言葉で「多く見かける」を意味する。

 また、タノシもネズミキツネザルとしては大型の部類に入り、鼻から尾の先までの体長が約27センチで体重が51.5グラム、マダガスカル南東部アノシ(Anosy)地区で発見された。毛色は全体が茶で、頭部は赤みを帯び、腹部は明るい茶色で、背に縞模様がある。

 この2種類のネズミキツネザルは2003年と2007年に発見されたが、別の種と正式に認定されるまで数年を要した。外見上は他のネズミキツネザルとよく似ているため、これまでは見過ごされてきたとみられる。

 同研究チームは論文の中で、マロヒータの森林が、同名のネズミキツネザルがここで発見されて以来の10年間で「重度に細分化され、破壊されて」きていると警告している。「マロヒータは、生息地の破壊が進んでいることで絶滅の危機に瀕している。この種のネズミキツネザルをその名の通り『多く見かける』ことは到底不可能だ」

 同研究チームは、国際自然保護連合(International Union for the Conservation of NatureIUCN)の「レッドリスト(絶滅危惧動物リスト)」にマロヒータを加えるようIUCNに要請しており、タノシも同じ道をたどることになる可能性は高いと述べている。「これらの新種について、適切な保護措置を講じることができるように、少なくとも生息する地理的範囲と個体群状態を特定するための現地調査と、さらなる地域調査が必要だ」(c)AFP