【1月15日 AFP】豪州大陸は欧州人が移住するまで孤立していたとする説を覆す新たな研究結果が発表された。研究によると、約4000年前には豪州大陸へと渡った古代のインド人と先住民アボリジニとが混血していたとし、また豪州に生息するディンゴをもたらしたのも、この古代インド人だった可能性があるとしている。

 広大な豪州大陸は1700年代末期に欧州人が上陸するまで、他の地域の人間との接触がなかったと考えられていたが、最新の遺伝学的証拠および考古学的証拠によりこの説は否定された形だ。

 ドイツのマックス・プランク進化人類学研究所(Max Planck Institute for Evolutionary Anthropology)の研究チームは「約4000年前、インドの集団と豪州の集団との間で顕著な遺伝子流動の証拠」があったと報告した。
 
 チームは豪州のアボリジニからニューギニア人、東南アジア人、インド人、インド南部の少数民族ドラビダまで、多岐にわたるゲノムの遺伝的変異を分析した。その結果、約4230年前にインドから豪州へ大きな遺伝子流動が起きたことを示す痕跡が見られたという。世代にして141世代前にあたる。

 研究主任のイリナ・プガチ(Irina Pugach)氏は「興味深いことに、この時代は石器技術の突然の変化など、豪州の考古学的記録に残る多くの変化が起こった時期とも一致している。(野生イヌである)ディンゴの化石が最初に現われたのもこの時代だ」と指摘している。

 また人類が4万年前にアフリカ大陸から広がり始めた際、南方への移動ルートをたどった豪州人、ニューギニア人、フィリピンの先住民ママンワの起源が共通していることも発見された。研究チームは、約3万6000年前、豪州大陸とニューギニアがひとつの巨大な陸塊だった時代に、現在の各集団に分かれたものと推測している。(c)AFP/Barry Parker