【1月10日 AFP】欧州宇宙機関(European Space AgencyESA)は9日、今世紀中に地球に衝突する可能性がわずかにある小惑星「アポフィス(Apophis)」について、そのサイズがこれまで考えられていたより20%も大きいことが分かったと発表した。

 ESAは先週末、ハーシェル(Herschel)宇宙望遠鏡を用い、ここ数年で最も地球に近い距離を9日に通過するアポフィスを観測した。

 米航空宇宙局(NASA)は、アポフィスの平均直径は270メートル(誤差プラスマイナス60メートル)、衝突時のエネルギーは506メガトンの爆弾と同等としていたが、ESAは、ハーシェルを用いた2時間の観測の結果、平均直径は325メートル(誤差プラスマイナス15メートル)と、NASAの推計より20%大きい結果となったと発表した。

 データ分析を率いた独マックス・プランク地球外物理学研究所(Max Planck Institute for Extraterrestrial Physics)のトーマス・ミュラー(Thomas Mueller)氏によると、アポフィスの体積あるいは質量は従来の想定より75%大きいとみられるという。

■2029年に地球に接近、2036年には地球に衝突?

 古代エジプト神話の悪神アペプにちなんで命名されたアポフィスは、最初に観測された2004年に世界を震撼させた。当初の推計でアポフィスはそれまでに見つかっていた小惑星の中では最も高い2.7%の確率で2029年に地球に衝突するとされたが、この確率はさらなる観測の結果、すぐに引き下げられた。

 ESAによる最新の推計では、アポフィスは2029年に静止衛星よりも地球に近い地球から3万5000キロメートルの距離にまで接近する見込みだ。

 だがNASAのジェット推進研究所(Jet Propulsion LaboratoryJPL)によると、アポフィスがさらに地球に接近すると予測されている2036年4月に地球に衝突する可能性が25万分の1とわずかながら残っている。

 天文学者らは、9日に地球から1450万キロの距離を通過するアポフィスを観測することにより、29年と36年の衝突確率の算出精度を高められると期待している。(c)AFP