【12月13日 AFP】およそ7000年前に既に先史時代の人類が土器を使ってチーズを作っていたことを示す証拠が見つかったと、英ブリストル大学(University of Bristol)などの国際研究チームが12日、科学誌「ネイチャー(Nature)」に発表した。

 動物の乳を加工して腐敗しにくく、運搬しやすく、また消化に良いチーズにするという保存技術は、人類史において重要な進歩と位置付けられる。これまでに北欧の新石器時代の遺跡から小さな穴が多数開いた陶器片が出土しており、チーズ作りに使うこし器ではないかとみられている。

 英ブリストル大のリチャード・エバーシェッド(Richard Evershed)氏(有機地球化学)率いる研究チームは、ポーランドから出土した約7000年前の素焼きの土器片に付着していた脂肪酸を化学分析した。土器片からは、現代のチーズ製造用こし器に匹敵するほど大量の乳脂肪分が検出されたという。論文は、この土器が牛乳から水分を抜き凝固した牛乳(カード)と乳清に分離する作業に用いられたことを示す強力な証拠だと結論付けている。

 研究チームによれば、今回の研究は北欧で紀元前6千年紀に牛が家畜として飼われていたことを初めて明確に示すものだという。また、当時の人類が、土器をチーズ作り用のこし器や肉調理用の鍋、蜜ろうで防水処理を施した水がめなど、目的に応じて使い分けていたことも今回初めて明らかになったとしている。

 人類の歴史において牛乳の加工技術の取得は重要な転換点となる。新石器時代に貴重な家畜を殺さずして食料を得る手段を得た人類は、遊牧生活から定住農耕生活に移行した。

 ただ、人類がいつからチーズを作り始めたのか、厳密な起源はまだ不明だ。(c)AFP