【11月16日 AFP】初期人類は、これまで考えられていたより20万年も早い約50万年前までに狩りに使うやりの先端に石器を付け始めていたとする研究論文が、米科学誌サイエンス(Science)で15日発表された。

 やりに石の尖頭器を装着する行為は、単に木の棒を削ってとがらせるよりも多くの準備と労力が必要とされる技術で、初期人類が狩猟用の武器を発達させる上で重要な役割を果たしたと考えられている。

 尖頭器付きのやりは30万年前までの石器時代の遺跡ではよく見つかっていたが、これよりはるかに昔から人類は石やりを使っていたことが論文により示された。

 論文の共同執筆者、米アリゾナ州立大(Arizona State University)のBenjamin Schoville氏は「ネアンデルタール人と現生人類は石やりを使っていたが、これら2種が分岐する以前にこの技術が存在したことを示す初めての証拠となった」と話している。

 主執筆者のカナダ・トロント大学(University of Toronto)のジェーン・ウィルキンズ(Jayne Wilkins)氏は「この発見により、これまで現生人類とそれに最も近い近縁種(ネアンデルタール人)の特徴とされてきた行為が、さらに遠い昔の祖先にまでさかのぼる可能性が出てきた。これは現生人類より前の初期人類が持っていた能力に対する考え方を変える発見だ」と述べている。

 今回の研究で分析された石の尖頭器は、35年ほど前にアフリカ南部のカラハリ(Kalahari)砂漠にあるカサパン1(Kathu Pan 1)遺跡で出土したもの。2010年に光ルミネッセンス(OSL)法などを用いた研究で、この尖頭器は50万年前のものだとされていた。(c)AFP