【10月26日 AFP】アメリカ大陸では初めてとなる羽毛恐竜の化石がカナダで発掘されたという論文が25日、米科学誌サイエンス(Science)に発表された。

 ダチョウに似た獣脚類「オルニトミムス」の成体2体と幼体1体の化石で、カナダ・アルバータ(Alberta)州のバッドランド(Badlands)という地域にある7500万年前の地層から発掘された。これまで見つかった羽毛恐竜のほとんどは中国やドイツで発掘されていた。

 研究論文の主執筆者、カナダ・カルガリー大学(University of Calgary)のダーラ・ゼレニツキー(Darla Zelenitsky)氏は「非常に胸躍る発見。西半球で初めての羽毛恐竜化石というだけでなく、オルニトミムスも他の幾つかの獣脚類グループと同じく羽毛で覆われていたことを示す初めての標本となった。オルニトミムスの仲間は全て羽毛を持っていたと考えられる」と話している。

 オルニトミムスの仲間は映画『ジュラシック・パーク(Jurassic Park)』の1作目にも登場し、肉食恐竜ティラノサウルス・レックス(Tyrannosaurus rex)に追われるシーンが描かれている。映画では羽毛ではなくウロコに覆われた姿で再現されたが、これは正しい姿ではなかったと現在の研究者らはみている。

 論文を共同執筆したアルバータ州ドラムへラー(Drumheller)にあるロイヤル・ティレル古生物学博物館(Royal Tyrrell Museum of Palaeontology)のフランソワ・テリエン(Francois Therrien)研究員によると、この化石には興味深い点がもう1つあるという。オルニトミムスの体は空を飛ぶには大きすぎるのだ。「成熟が進んだ個体に翼のように発達した前肢が見られることから、(羽毛は)成長後にしか使われなかったと推測できる。恐らく求愛や抱卵といった繁殖行動に使われたのでしょう」(c)AFP