【10月25日 AFP】夫たちよりも「働くお母さん」のほうが、たくさんのことを同時にこなしているはず──1度に複数のことを並行して処理する能力は、これまで男性よりも女性のほうが高いと考えられてきたが、実は男性のほうがこの「マルチタスク」が得意だとする研究結果が発表された。

 スウェーデン・ストックホルム大学(Stockholm University)は20~43歳の男女160人の協力を得て実験を行い、作業記憶と空間認識能力をそれぞれ調べる2種類の作業を同時にこなしてもらった。

 1種類目の作業は、異なる時間を表示しながら異なる速さで時を刻むデジタル時計3個を見てもらうというものだ。被験者たちには、簡単なルールに従って、一定の時間が表示された時にその時間を記録してもらった。

 さらに、被験者たちには2種類目の作業として、コンピューター画面上に流れる文字テロップを見張ってもらった。テロップにはスウェーデン人の一般的な名前が次々に現れる仕掛けになっており、その中から、ある決まった名前が現れた時にマウスのボタンを押してもらった。

 研究を主導したストックホルム大のTimo Maentylae教授(心理学)によれば、結果はこれまでの通説を覆すもので、時に男性のほうが女性よりも並行処理の能力が高かった。しかし、その違いは女性の月経周期と関連していたという。

 過去の研究に沿えば、いわゆる「作業記憶」が優れた人は男女共に、複数作業の並行処理能力も他の人より高かった。しかし今回の研究では、女性では並行処理能力が「作業記憶」だけではなく空間認識能力とも相関しており、さらにそれが月経周期と関連していることが発見された。

「過去の研究で、女性の空間認識能力は月経周期中に変化し、月経前後には空間認識能力が高くなる一方で、エストロゲン(女性ホルモン)の多い排卵期前後はずっと低くなることが示されてきた。さらに今回の研究では、排卵期の女性と男性とを比較した場合に、男女の並行処理能力に明らかな違いがあることが分かった。しかし、この影響は月経期の女性では見られなかった」と同教授は述べている。

 同教授の論文は米心理学専門誌「サイコロジカル・サイエンス(Psychological Science)」に掲載される。(c)AFP