【10月21日 AFP】筑波大が開発した人間の動きを支援するロボットスーツを、原発事故の現場での作業用に改良した新しいロボットスーツが18日、公開された。数十年がかかると見込まれている東京電力福島第1原子力発電所の廃炉作業での活躍が期待される。

 ベースとなっているのは、福祉・介護支援用として筑波大(University of Tsukuba)の山海嘉之(Yoshiyuki Sankai)教授が開発、茨城県つくば市のロボットベンチャー企業サイバーダイン(Cyberdyne)が製作したロボットスーツ「HAL(ハル)」。脳から発せられる電気信号をセンサー網によって捕らえ、装着者の手足に合わせてモーターが作動し、軽快に動けるよう補助する。

 この「HAL」に改良を加え、放射線量の高い原発事故の現場で、防護服の重さを感じずに動けるようにした。東京電力福島第1原子力発電所で作業員が着用している重さ60キロのタングステン製防護服もほとんど感じなくなるという。またロボットスーツ自体の外側も防護服同様に防護機能を持たせた。

 さらに熱中症予防としてスーツ内側に空気を循環させるファンを取り付けた他、作業員の疲労のサインを見逃さないために心拍数や呼吸数を監視するコンピューターも内蔵している。

 新型ロボットスーツが公開された「Japan Robot Week 2012」ではまた、福島原発の中心部など危険な場所に人間に代わって進入し、情報収集などを行うことができる千葉工業大学(Chiba Institute of Technology)の先行探査型移動ロボットなども披露された。(c)AFP