【10月12日 AFP】チョコレートの消費量が多い国はノーベル賞受賞者を多く輩出していることを示した研究ノートが11日、米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に掲載された。

 米コロンビア大学(Columbia University)のフランツ・メッセーリ(Franz Messerli)教授が執筆したこの研究ノートによれば、ココアや緑茶、赤ワイン、そしてある種のフルーツに含まれる抗酸化物質のフラボノイドは、「老化による認知能力の衰えを遅らせたり回復させたりする効果」があるとみられている。

 メッセーリ教授は、チョコレートの摂取により個人だけでなく人口全体の認知機能が改善されるとの仮説に基づき、各メーカーが公表する23か国の1人当たりのチョコレート消費量と、国民1000万人当たりのノーベル賞受賞者数の相関関係を調査した。すると驚くべきことに、これらの間には「密接で顕著な線形相関関係」があることが分かったという。

 チョコレートの原料となるカカオ豆は、古代のアステカ人やマヤ人によって飲料の原料として利用されていた。16世紀にスペインの征服者らが欧州に持ち込み、19世紀のスイスで現在食べられている固形のチョコレートに進化した。

 メッセーリ教授によれば、チョコレート消費量・ノーベル賞受賞者数ともに最も多かった国は当然ながらスイスだった。米国、フランス、ドイツは中ほどの順位に付け、最下位グループには中国、日本、ブラジルが入った。

 唯一の例外はスウェーデンだった。国民1人が1年間に消費するチョコレートの量は6.4キログラムで、これを基に割り出したノーベル賞受賞者数は14人ほどだったが、実際には32人もの受賞者を輩出している。

 メッセーリ教授はこの理由について、同国ストックホルム(Stockholm)に本部を置くノーベル賞委員会(Nobel Committee)の「愛国的バイアス」が影響しているか、あるいはスウェーデン人が他国民と比べてチョコレートに対する「感受性」が特に高く、わずかな量でも認知能力を大幅に増幅させているかのどちらかだと結論している。だがメッセーリ教授は最後に、「これらの発見は仮説を生むものでしかなく、今後さらなる調査が必要だ」との注意書きを添えている。(c)AFP