【9月26日 AFP】重い人格障害のある人は、嗅覚能力が極端に低いという研究結果が20日、学術誌「Chemosensory Perception」に発表された。

 反社会的行動や共感の欠如、冷淡さなどで特徴づけられる人格障害と嗅覚の障害はどちらも、脳の眼窩前頭皮質と呼ばれる部分の機能障害に発することが分かっている。

 オーストラリア・シドニー(Sydney)にあるマッコーリー大学(Macquarie University)心理学部の研究者らは、人格障害と嗅覚障害の関連性を調べるために人格障害と診断された19~21歳の79人の嗅覚能力を検査した。

 用いたのはペン型のスティック1本ずつに異なる匂いを入れたスティック型嗅覚検査法で、オレンジやコーヒー、皮革の匂いなど16種類で検査した。すると被験者たちが匂いを特定したり、かぎ分けることに問題を抱えていることが明らかになった。また人格障害の診断スコアが最も高かったグループは、嗅覚能力が最も低いグループと一致した。

 脳の前頭葉にある眼窩前頭皮質は、衝動や計画性、社会規範に沿った行動などをつかさどる部位として知られている。またこれまでの研究で嗅覚信号の処理でも重要な役割を担うことが示唆されているが、正確な機能は明らかになっていない。

 ただし研究は、嗅覚能力が低いことがすなわち人格障害を表すものではないとしている。また統合失調症やパーキンソン病、アルツハイマー病などで嗅覚障害が現れることがあるという。(c)AFP